NHK出版より「カリンのチカラ」という本が出版されました。果実酒やのどに良い飴やシロップとして知られるカリンを特集したもので、カリンの薬効成分からはじまり、レシピ、栽培方法など、カリンづくしの内容となっています。
当店からは、中国の古典家具などで登場する高級木材「花梨」についてすこし、お話をさせていただきました。
実は、中国の古典家具に登場する「花梨」と、のど飴、果実酒に使われるカリンは、異なる樹木です。
かくいう私も、以前は、同じだと思っていましたし、多くの方は「エッ そうなの?!」と感じることと思います。
ということで、お酒にはならない花梨について、お話した内容を、掲載いただいておりますので、
是非、手にとって下さい。
さて、本誌には載せきれなかった木材としての花梨について、少々、
中国の伝統的な家具の世界では、俗に紅木(ホンムー)と呼ばれる銘材があり、紫檀、黒檀、鉄梨、そして花梨などが、それに属しています。目が詰まっていて硬く、木目も美しいこうした銘木の家具は、加工も著しく困難です。
最近は、伐採により、数も減りましたから、値段も相当に上がったと聞いております。
特に、黄花梨(オウカリン:ホワンホワリー)は、中国の銘木の代名詞みたいなもので、
黄花梨の「黄」は、花梨材の古材の表面に、長い年月の間、陽光にさらされてできた、穏やかで優しい雰囲気、
風合いに対して付け加えられた呼び名です。
reddish-brownからgolden-yellowという色みとされる花梨材の色ですが、
一般に赤の色素は日光による退色が早いので、しだいに赤みが薄れ、
黄色みが勝ってくるという実際の見た目もまさに「黄花梨」と呼ぶにふさわしいのかもしれません。
また、黄色は、中国では皇帝を意味する黄金に近い色として、
高貴で品位のあるものを表しますので、花梨材が時を経て
より品格をまとったものとして、そして皇帝にあやかる意味でつけたのではないかと思います。