画家 矢野静明さんの作品との出会いは、2年ほど前に遊牧民のじゅうたんを扱う友人とお邪魔したとある絨毯愛好家のお宅でした。
パステルのとてもいい赤を基調とし、大胆な構図と点描が特徴の抽象的な作品で、ぬくもりと熱いパッションを感じたものでした。友人に聞いてみたら、なんと作者は、当店でキリム教室の講座をもったいただいている矢野ゆう子さんのご主人とのこと。
それから少々時は過ぎ、ある日、奥様のゆう子さんから、「主人がお店に行ってみたいというので、今度連れて行きます。」とのお知らせをいただきました。
お店にいらした静明さんは、たしか奥様に開口一番「こんないい空間なら、どうしてもっと早くに教えてくれなかったの?この壁、そして家具に作品をコーディネートして飾ってみたら、とっても良さそうじゃないか。」とおっしゃったと記憶しています。
確かに、その時、お持ちいただいた作品を家具の上とか、壁に試しに飾ってみたら、なんだかずっと前からあったとしてもおかしくないほど、見事に調和。「では、早速展示会をしましょう。」ということになったというわけです。
実際に絵を求め、飾らんとする方は、整然とした画廊ではなく、今、自分が生活する住まいに飾るのですから、さまざまな生活の道具(家具家敷物、雑貨など)がある空間は、たしかに作品を身近に感じられ、そして実際の空間演出イメージしやすいことでしょう。
今回は、6月後半の2週半に渡り、近作数十点を店内の空間いっぱいに展示いたしますので、是非、お立ち寄りください。
目次
2011年~2012年『移動・移民シリーズ』より
今回の案内状に使ったのは、パステルで描いた「移民・移動シリーズ」のうちの四点の作品です。
このシリーズは2009年にスタートして今も続いています。大小合わせてすでに100点を超えました。
大判の紙にパステルや水彩を使った作品は、それ以前からずっと制作しているのですが、
一般的には、パステル画や水彩画と聞けば、透明でやさしい画面を想像されることが多いでしょう。
私の作品が与える印象は少し異なると思います。実際に観ていただいた方から「樹の皮」とか「布地」「錆びた鉄板」
のようだと言われることが時々あります。つまり、パステルや水彩を使った絵には見えないということのようです。
そのことにも関連しますが、絵画作品と同じくらい絨毯や衣服の染織作品に興味を持ち続けてきました。
特に、世界中に存在する「民族芸術」、日本も含めて、アフリカ、アラブ、アジアの古い染織品にあるような
刺繍、アップリケなどを飽きずに繰り返しながめますが、アフリカ、クバ族のアップリケ布と20世紀の
有名な画家パウル・クレーの作品には驚くほど似ているものがあります。
現在はパステルや水彩のほかに、黄色い油彩を使ったシリーズと、小さな木片に青いインクで点描するシリーズを
同時に続けています。
今回は、その三つのシリーズの中から選んだものを展示する予定です。
『一本足と黄色』
65×24㎝
杉板、油彩、インク
2013年
矢野静明 絵画作品展 概要
開催日程
2013年6月15日(土)>>>30日(日) 12:00―19:00
6月20日(木)27日(木)はお休みとなります。/最終日は17時までとなります。
会場
エスニカ 横浜市青葉区桜台25-1 桜台ビレッジ1階13区 駐車場なし
作品のお求めのお客様へ
- 各種クレジットカードでのお支払いが可能です。
- 展示作品は原則として、個店終了後の納品とさせていただきます。
オープニングパーティー 6月15日(土) 17:00~
ワークショップ 「作る 見つける わたしの色」
「色を塗る作業」と同時に、「色彩感覚を発見する作業」を行います。自身の色彩感覚を考える力を養うことを目指したワークショップです。
- 6月19日(水) 14:00~16:00
- 水彩、パステルなどの画材を使って色彩を体験できる画面を作ります。
- 材料費込み 1000円 /要予約 お申込みフォームからお願いします。
- 持ち物:手を拭くタオル1枚、エプロン(または汚れても大丈夫な格好)
- 基本的に大人向けのもので、小学校高学年くらいの年齢からのご参加をおすすめします。小学生4年生以下のお子様のご参加の場合は、保護者の方の同伴をお願い致します。(料金は1名分のみ)
矢野ゆう子作 キリム織りバッグの販売
当店でキリム教室を開講されている織物作家 矢野ゆう子さん作の小さいバッグなどを販売いたします。
その場でご購入、お持ち帰りいただける作品と、注文生産の作品を展示いたします。
矢野静明 プロフィール
略歴
1955年 宮崎県生まれ
1983年 和光大学人間関係学科卒業
2001年 フリーマン・フェローシップでアメリカ、バーモントスタジオセンターに滞在
2003年 資生堂ADSP
現在 立教大学映像身体学科、兼任講師
個展
1979 ひまわり画廊 宮崎
1983 村松画廊 東京
1988 ギャラリーQ 東京
1994 プラザ・ギャラリー 東京
1997 ギャラリーシティオ 東京
2000 セッションハウス・ガーデン 東京
2005 画廊キューブブルー 浜松
2007 マキイマサル・ファインアーツ 東京
2011 ギャラリーアニータ 神奈川
グループ展
1981 「二人展」あかね画廊 愛知
1983 「遊歩者展」 銀座えんばホール 東京
1989 「今日の作家展ー多極の動態」 横浜市民ギャラリー 神奈川
2000 「英展」 田川市立美術館 福岡
2007 「南九州の現代作家たちメッセージ2007」 都城市立美術館 宮崎
著書
2004年 『絵画以前の問いからーファン・ゴッホー』(書肆山田)刊行