李朝家具ガイド1 収納用の家具

李朝家具の種類解説1

 

2014年1月開催 李朝工藝と昇窯コラボ展示「安曇野の二人展」まであとひと月。今では専門的に扱うお店も少なくってしまった李朝アンティーク家具のことを、じっくり予習して、期間中に見て楽しんで、そして選べるように、資料をアップしていきます。

まずは、李朝家具の中の収納や陳列に使うキャビネット、チェスト、シェルフをご紹介いたします。

既にご存知かもしれませんが、李氏朝鮮時代は、ヤンバン(両班)という上流階級によって、文化が牽引されており、儒教の影響もあり、素朴にして、おおらかな風情の手仕事が広まりました。

家具においても、大部分は、シンプルな構造に、控えめな装飾となっています。

日本と同じ床座の生活、そして比較的小さめの居室に分かれていた当時の屋敷という背景もあり、

李朝の棚やタンスは、和の空間に対するサイズもちょうどよいのも特徴です。

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李朝家具の代名詞的存在 バンダジ

李朝バンダジ

 

画像の商品は、エスニカの以前の在庫

バンダジ内部
バンダジ(Bandaji 英名はBlanket Chestという。)衣類、寝具、時に写本などを収納するための家具。
正面の上半分が開閉するもので、名前のBanは「半分」後半のDajiは「閉まる」から来ています。
天板は、実は水平ではなく、手前が高くなっているものも多く、これは、天板に載せた布団が、手前に落ちてこないようにという知恵と聞いたことがあります。

使われる木材は、その他の収納家具「ジャン」や「ノン」に比べ、分厚く丈夫な板を用いているが、
衣類に比べ、幾分扱いが乱暴にもなる寝具類を日常的に出し入れするのに、十分な強度を要したためであると推測されます。。

李朝家具の代表格と書きましたが、それは、バンダジのこの形状が他にはあまり無いということに加え、もともとの数が多いということが理由だと思います。
かつての朝鮮半島では、日本のような「押入れ」がなく、部屋の多くに収納庫としてのこのバンダジが、必要であったとため、屋敷の中でも、複数必要であったということです。

 

ジャンはいわゆる衣装箪笥

richo-jang

2層(段)あるいは3層(段)のものもある衣装の整理用タンス「ジャン(Jang) 木へんに蔵」は、バンダジなどに比べ、背が高い。扉は家具の大きさに対して、小さめに作られており、これは、たたんで重ねた衣類が、開け閉めの際に崩れないようにという配慮から。
また、ジャンの最上部には、小さめの引き出しが付いている場合があるが、これは、装身具(アクセサリー)をしまっておくためのものと言われています。

richo-morijang
モリジャン(Mori Jang)は、一層のジャンで、ベッドサイドチェストとも呼ばれ、寝室などで使われた。
ジャン、モリジャンともに、家具の奥行きは浅めで40cmまでに収まるものが多いように思う。
これも、畳んだ衣類の標準的なサイズ、比較的小さめの寝室という条件を考えると必要にして十分なサイズということでしょう。

積み重ねて使うノン

李朝 籠(ノン)
ノン(Nong)は、上下同じサイズで、横に持ち手のついた箱型をしているものが一般的。女性の居室「アンバン」で使われることがほとんど。シンプルな男性の衣装に比べ、当時の女性が華やかな衣装に身を包んでいたのは、当時の様子を描いたテレビの時代劇などでも、多くの方がご覧になっていると思いますが、このノンやジャンも、白蝶貝などの象嵌が施されたりと、女性らしい美しい装飾がされたものもあります。

脚は、本体同様に、取り外しができ、必要に応じて、重ねるだけでなく、並んで使う際に、高さを揃えることを想定しての工夫です。

台所で使われた肉厚の収納庫 チャンジャン

李朝チャンジャン

 

Chan Jangは調理器具、食器、または食品の収納に使われた家具で、2層、あるいは3層になっているものが多い。素材は、肉厚の松をフレームに用いて、ケヤキやニレなども組みわせていることもある。

金属製の蝶番や留め具、持ち手がついたものは少なく、カンヌキ部分も木製がほとんど。
素朴でおおらかな風情が人気ということ、それに、湿気の多い台所では、より傷みやすいということから、あまり沢山は出回っていないようです。写真の品も、十年以上前に、仕入れの際に撮った資料でおそらく復刻品でしょう。

その他に、Tuijuというコメ、豆、ごまなどをネズミや湿気から守るためのストッカーなども、よく知られています。

 

非常にレアな存在 薬箪笥

李朝薬箪笥 ヤクジャン

Yak Jangは、薬を分類してしまうために沢山の小さな引き出しを持つ家具。鍵のかかる大きな扉や引き出しなどには、劇薬などが仕舞われた。注意してみてみると、漢方薬の原料として今でも用いられている食材などの名前を見ることができる。
現在、李朝時代のヤクジャンを探すのは、極めて難しい。小さく細かいものを好む日本人の気質にも合致しているため、今も人気は衰えないし、それ故、復刻品も多く流通している。

書斎用の飾り棚

タクジャ 李朝家具
こちらは、エスニカの在庫のタクジャ

四方卓子サバンタクジャ

Tak Jaは卓子と書きます。卓はすなわちテーブルで、おとなり中国でも卓子といえば、机のこと。
しかし、朝鮮半島では、タクジャまたはタグジャは、飾り棚や本棚のこと。なぜなのでしょう?

タクジャは、両班(ヤンバン)における男性の書斎のような居室(サランバン)で用いられたオープンなシェルフで、下部に扉や引き出しなどを持つもの。また、真上から見てほぼ正方形で、2点1対で使う細身の飾り棚(四方棚:Sabang Takja)というものもある。

いずれも、屋敷の主が所有する文房四宝などを飾り、庫内には大切な書籍を入れるのに用いられました。
シンプルで飾り気の少ないタクジャに白磁の器や硯、水滴などを、そっと置いてある様は、時代を経ても、これ以上ない組み合わせである。

ケヤキや銀杏、それに軽い桐や竹などの素材も使われる。


以上、李朝家具ガイダンス 第一回目 収納家具編でした。

写真は、特に注釈のないものは、古い図録からの抜粋です。展示会当日に御覧いただけるものは別になります。

次回は、李朝家具(収納編)Part2をご紹介します。

 

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